1996年・九州場所(11/10〜11/24)

琴錦,関脇通算20場所目.長谷川の21場所に続き,史上2番目だそうで. このまま「最強の関脇」で終わってしまうのか?

終盤(十一日目十二日目十三日目十四日目千秋楽)

十一日目

×琴錦(4-11)武双山○

武双山が踏み込みました.押し込んでおいて,タイミングよく叩き込み. うーん,琴錦はどうも武双山に勝てないですねぇ. 今日もいいところなし.

頭で当たって押し合い.栃東がいなすが湊富士は残し,押し返す. ここで,栃東が頭を付け前廻しを引きいい形になりますが, 湊富士が右をこじ入れ,押しておいてからの引き落としが決まりました.

安芸乃島が低い当たり. しかし旭鷲山がちょっと変わり,頭を押さえつけるような叩き込みに仕留めました. 実力者安芸乃島に勝ったのは,自信になるでしょうね.

土佐ノ海,いい角度で気迫のこもったいい当たり.休まず押し込みました. 濱ノ嶋に何もさせず,一気に寄り切りました. 最高の相撲だったんじゃないでしょうか.

立ち会いさっと小城錦が左差し. 差し手の方に体を寄せながら,そのまま一気に若乃花を持っていきました. 小城錦らしい速攻相撲.これで,貴ノ浪・若乃花の二大関を破りましたね. これをきっかけに,上位定着を目指してもらいたいところです.

立ち会いさっと水戸泉が左を差しましたが,貴ノ浪はすぐにその腕を抱え込みました. 水戸泉が押し込みますが,貴ノ浪が二度三度と河津掛け. 水戸泉が貴ノ浪の右腕の下に頭を付けて押し込みますが,貴ノ浪はこらえる. そして,腰を落としてからの小手投げ. あんな勝ち方ができるのは貴ノ浪だけですね. 水戸泉は申し分ない体勢になったんですけどねぇ.

立ち会いさっと左四つ.魁皇が得意の右上手を取りました. 武蔵丸が寄りますが,魁皇相手の上手を切って残し,動きが止まりました. 魁皇が上手投げにいくところを,武蔵丸は右からおっつけ, 差し手の方にうまく体をよせて寄り切りました. 武蔵丸動きがいいですね.落ち着いてますし.魁皇はちょっと強引な投げだったかな. 後ろに下がるような投げでしたので,付け込まれましたね.

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十二日目

○琴錦(20-11)貴闘力×

琴錦,今日は立ち会いから突っ張り. 突っ張って突っ張って,そのまま突き出し. 貴闘力はまったく相撲を取らせませんでした. 琴錦は勝ち越し.関脇の座をキープしましたね. これで来場所は,通算21場所です.長谷川に並びますね. でも,勝ち越しに満足せず,二桁狙ってもらいたいです.

力櫻,もろ手突きから叩いて左上手を引きました. 旭鷲山は,右下手を引きましたが半身の体勢. 力櫻が十分な体勢でしたが,旭鷲山が機を見て丁斧掛け(ちょんがけ),すぐに裾取り. いやー,いろんな技を見せてくれますね.見てて楽しいですし. 技の勉強にもなります.

玉春日が突っ張りますが,栃東はあごを引いて, 下から下からあてがって下がりませんでした. 玉春日が突っ張って出てくるところを,うまく回り込んで,一気に押し出しました.

最初の一番は,安芸乃島が豪快な二丁投げ.完全に決まったかと思いましたが, 安芸乃島の肘がつくのと濱ノ嶋が落ちるのが同時と見ての取り直し. 確かに安芸乃島の肘も早かったけど,あれは技が決まってますよー.
取り直しの一番も,最初の一番と同様,濱ノ嶋がさっと両差しになり, 安芸乃島は左腕を首に捲くような体勢になりました. 今度も安芸乃島は投げにいくことしか考えていないような感じでした. 最後は濱ノ嶋が寄って出るところを,安芸乃島が首投げにいきましたが, 濱ノ嶋の下手投げに押しつぶされました.

武双山,土佐ノ海とも,低く当たり合いましたが, 武双山が少し押し込みました. 土佐ノ海が押し返すところを,武双山がうまく叩き込みました.

武蔵丸が立ち会いさっと右上手を取り,左も差しました. 小城錦は廻しが取れず,武蔵丸有利な体勢. しかし,武蔵丸が寄ろうとするところを,小城錦が思い切ってすくい投げ. 武蔵丸が背中から落ちました. 小城錦はこれで3大関連破. どうしちゃったんでしょう,びっくり. こりゃ,勝ち越さないともったいないですね.

曙突き放し,のど輪で押し込んで,左差し. 貴ノ浪は抱えようとしますが,曙の左が深く入っていましたので, さすがにそれは無理. 右が万歳させられたので,そのまま首に捲いて,背中で両手を組む形になりました. しかしこの体勢から,思い切って首投げ.これが決まってしまいました. 両手を組んだまま捻るような感じでしたね.

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十三日目

×琴錦(4-2)土佐ノ海○

土佐ノ海の方が低く鋭い当たりでしたね. 突っ張り合いになりましたが,琴錦が右を差し,動きが止まりました. 琴錦が蹴返しにいきましたが,これは裏目でしたでしょうか. 体が離れ,突っ張り合いになりましたが,土佐ノ海の圧力の方が上でした. 琴錦は後ろ向きになってしまい,そのまま送り倒し.

十両では,舞の海が勝ち越しましたね.まずは一安心ですね.

頭で当たり合いましたが,琴龍の当たりが強かったのでしょうか, 次の瞬間栃東がまともに引いてしまいました. 琴龍はそのまま倒れ込むような感じでしたが,栃東を押し出しました.

浪之花が負け越してしまいました.十両落ちですかねぇ.

立ち会い変わって,旭鷲山が上手を探りましたが取れず, 逆に琴稲妻が左上手を取りました. 旭鷲山もすぐに上手を引きましたが,琴稲妻がおっつけて上手を切ろうとした瞬間, 旭鷲山が体を開き,掛け投げにいくようにして下手投げ. これで旭鷲山は勝ち越しです.

安芸乃島−小城錦は非常に目まぐるしい一番でしたが, 最後は安芸乃島が上手投げから押し出し. 小城錦は3大関を破りながら,もったいない負け越しですね.

武蔵丸がもろ手突きにいきましたが,若乃花がさっと右前廻し. 左も差して頭を付けました.すぐに出し投げを打ち,頭を付けて寄る. 再度出し投げを打ったところで体が離れ,突っ張り合いになりましたが, 若乃花の方がよく攻めていました. 若乃花が頭を付けてくいつき,動きが止まった後, タイミングを見て腕を手繰って引き落とし.非常に見応えのあるいい一番でした.

貴闘力が頭から踏み込む.貴闘力がはずで押しておいてさっと引き落とし. 曙はきれーいに前回り受け身(^^;)

ここにきて曙と武蔵丸が揃って連敗とは…. これで優勝争いがまったくわからなくなりましたね. 3敗で,曙・若乃花・武蔵丸・魁皇が並んでいます. ここは曙にびしっと決めてもらわねば.

今日は,動きの激しい,攻防のある一番が多かったですね. 安芸乃島−小城錦とか魁皇−玉春日とかも書きたかったのですが, どうもうまく書けませんでした.

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十四日目

×琴錦(11-17)若乃花○

若乃花が低い立ち会い.琴錦が左を差しにいきますが, 若乃花がそうはさせず右差し.左からもおっつけて差させない. 若乃花が頭をつけて押し込みましたが,これは残して土俵中央に押し返す. しかし,若乃花が右の腕を返し,左から強烈におっつけておいて, タイミングを見ての肩透かし.若乃花の厳しい攻めと集中力が目立ちました. 琴錦は完敗でしたね.

十両筆頭で9勝の大和と,14枚目で負け越している浪之花の「入れ替え戦」は, 大和の一方的な突き出しでしたね. 琴別府は,十両筆頭の三杉里に勝って,7勝7敗と踏みとどまりました. しかし,出島,栃乃洋,千代大海,五城楼など近々どんどん上がってきそうですし, ここ数場所の若い新入幕力士も幕内に定着していますね. 新旧交代が進んできている感じです. さーて,誰が落ちるんでしょうかねぇ. 舞の海とか智乃花も,相当頑張らないと,幕に戻ってこれそうにありませんね.

栃東,立ち会いいなし,おっつけて,頭をつけて出ていきましたが, 剣晃がうまく引っ掛けて送り出し. 流れは栃東でしたが,剣晃の方が一枚上手でしたね.

土佐ノ海当たって,さっと左差し.そのまま一気に走りましたが, 旭豊も土俵際で右上手を引き,投げの打ち合い. 同体かなという感じで落ちましたが,土佐ノ海の立ち会いからの勢いが功を奏したか, 物言いもつかず,土佐ノ海の寄り倒しの勝ち. 土佐ノ海は,筆頭で勝ち越しました. 久しぶりの三役復帰が確定的ですね..

武双山は,右がまったく使えない大翔鳳を問題なく料理して,久しぶりの勝ち越し. でも,連敗があったりして,あんまり存在感がなかった感じですけどね.

貴闘力は,小城錦の速攻相撲にあえなく敗退. 大関挑戦の場所は,残念ながら負け越してしまいました.

貴ノ浪が立ち会いさっと右で抱えました. 魁皇が左差し手を返し,右上手も引きますが, 貴ノ浪はかまわず小手投げで体を入れ替え,外掛けに仕留めました.

武蔵丸が立ち会いから突っ張りましたが,すぐに右を差し,頭をつけました. 曙が体を起こそうとしますが,逆に武蔵丸が両差しになり, 寄っておいてのすくい投げ.曙はなんか元気がないですね.

曙と魁皇が敗れ,若乃花と武蔵丸が優勝争いに残りましたね. 曙と若乃花の千秋楽・相星決戦を期待していたのですが…. 曙は,今場所はきちっと優勝しなきゃだめだよぉ. ここ数日,体調でも悪いんでしょうか.まったく集中力が見られないのですが.

十両では,2敗の栃乃洋が勝ち,3敗の千代大海が負けたことにより, 千秋楽を待たずして,新十両の栃乃洋の優勝が決まりましたね. しかし,新十両にあっさり優勝させるなよー > 十両力士

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千秋楽

×琴錦(25-5)安芸乃島○

両者さっと右差し.安芸乃島が左から小手投げを打ちましたが, この時琴錦の痛めている右肘が極まるような感じになりましたので, 相当痛かったのでしょうか,残すことができませんでした. 最後は,安芸乃島の足がかかっていたようで,決まり手は切り返しでした. お得意様の安芸乃島に負けたのは残念.

十両筆頭の三杉里が10番勝って再入幕を確実にしましたね. 一場所で戻ってくるあたりはさすがです.

栃東が,巌雄のまともな引きに乗じて一気に押し出しました. これで新入幕で10勝.「今日勝てば」の条件がついていましたが, 見事敢闘賞を獲得しました.

土佐ノ海が頭から低い立ち合い. 玉春日が 2, 3発突っ張り,土佐ノ海が低く出てくるところを叩き込みました. 熱戦を期待していましたが,あっけない勝負になってしまいました. 土佐ノ海は,ちょっと低すぎたでしょうか.
土佐ノ海は今日は負けましたが,若乃花・武蔵丸を破ったことにより, 殊勲賞を獲得しました. 今場所は,立ち会いの踏み込みと,その後,頭を下げての押しがよかったですね.

武双山が立ち会い低く当たって,頭をつけておっつけていい形になりました. 武双山が上手投げで攻めましたが,琴の若は残し, 最後は,琴の若が肩越しの上手からの豪快な上手捻りに仕留めました.

貴闘力がのど輪で押し込みましたが, 魁皇が腕を手繰って強烈なおっつけで押し出しました. 魁皇も「今日勝てば」の条件がついていましたが,敢闘賞を受賞しました. 同時に優勝争いに踏みとどまりました.

武蔵丸が立ち会いから突っ張って押し込みましたが, 貴ノ浪が上手を取り,回り込みながらの上手投げ. 貴ノ浪は若乃花の援護射撃と共に,自身も優勝の可能性を残しました.

若乃花が立ち会いに変わりました.曙がよくついていき,手も足もよく出ていました. 2発,3発突いてから,体当たりするような感じで突き倒しました. ここ数日の曙を見ていると,今日は勝負にならないと思いましたが, 今日は動きも気迫も充実していましたね. 若乃花は,逆に優勝を意識しすぎでしょうか,消極的な立ち会いでしたね.

これで,なんと,11勝4敗で5人が並んで, 史上初の5人による優勝決定戦となりました.

前哨戦
 ○武蔵丸−若乃花×
 ○貴ノ浪−魁 皇×

優勝決定巴戦
 × 曙 −武蔵丸○
 ×貴ノ浪−武蔵丸○

ということで,武蔵丸の二度目の優勝で幕を閉じました. しかし,あ・け・ぼ・のぉー,くじ運にも恵まれたんだから, びしっと決めてくれよぉ. 巴戦の二番は,武蔵丸の気迫勝ちでしょうか. 曙も貴ノ浪も精彩がありませんでした.

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