現在の昇進規定は,95年名古屋場所新番付より採用されているものですが, 基準が厳しすぎるようで横綱・大関の人数が少ない状態が続いています. ちなみに,その前の規定は93年夏場所から95年夏場所まで採用されていましたが, この期間は上位陣の成績が好調だったこともあり, 5横綱5大関のような頭でっかちな番付が続いていました. そのため,基準を厳しくしたという経緯があります.
前規定から現規定への変更点は,大関昇進条件の一つを,
昇進条件については,「二場所連続」というのは厳しすぎる条件のようで, この部分の改訂は必須と思われます. 昇進基準・陥落基準については,前回の改訂によって厳しくなりましたが, ほぼ妥当な基準であると思われます. ただし,若干の微調整を検討しても良さそうに思われます.
以下に改定案を示します. また,実際の成績を改定案に当てはめての検証を行ないましたので, その結果を示します.
大関昇進条件の改訂と昇進基準値の改訂を検討している.
検証結果から,「二場所連続で昇進基準以上の場合」という条件を
「連続在位期間中に二度昇進基準以上の場合」または
「関脇において昇進基準以上の場合(ただし前場所が平幕の場合は除く)」
とするのが妥当と考えられる.
すなわち,
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「二場所連続で昇進基準以上の場合」は厳しすぎるため,これを改訂する必要がある. 改定案としては,以下の候補が挙げられる.
本改定案の適用は,当面延期とする.
昇進基準は「陥落基準+定数」となっているが, この定数を現状の1.5から1.4に改訂する. |
昇進基準の検証の項で述べるように,
定数が1.5の場合も1.4の場合も,「本場所における二桁勝利に相当する基準値」
として妥当な範囲内であると言える.
一方,過去の実例を利用した昇進者数の検証の結果,
定数を1.4に引き下げた場合でも昇進者が著しく増加するようなことはない.
逆に93年5月から95年5月の結果に見られるように,
横綱と大関の人数のバランスがもっとも良くなる結果になっている.
以上のことから,定数を1.4に引き下げるのが妥当であると考えられる.
2001年9月場所の結果もふまえて最終決定し,
2002年1月場所の新番付作成より適用する.
ここで「連続在位期間中の成績」については,
2001年11月場所の成績を起点とする.
すなわち,7月場所と11月場所で昇進基準を越えている場合でも,
昇進とはならない.
ただし,9月場所と11月場所で連続して昇進基準を越えている場合は,
昇進となる(11月場所番付で「大関取り」となっているため).
【追加・補足】
前場所が平幕ではない関脇が昇進基準を越えた場合昇進となるが,
11月場所で昇進基準を越えた関脇については適用しない.
11月場所の成績を起点とするため,9月場所は平幕だったものとして扱うこととする.
昇進基準は,本場所で言うところの「二桁勝ち星」に相当する基準値であると言える. そこで,偏差値を算出することによりこのことの検証を行なう.
まず,1998年1月から2001年3月までの本場所20場所について 偏差値を算出したところ, 偏差値の平均値は以下のようになっていた.
8勝 | 51.864 |
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9勝 | 55.687 |
10勝 | 59.510 |
現規定の適用が始まった1995年5月から2001年3月までの36場所について, 昇進基準の偏差値を算出したところ,平均値が58.77であった. この値は,本場所における9.8勝(偏差値58.75)に相当する.
昇進基準を「陥落基準+1.4」として算出し直したところ, 上記36場所での偏差値の平均は57.97となった. これは本場所での成績における9.6勝(偏差値57.98)に相当する. したがって,+1.4も+1.5も, 本場所における二桁勝利に相当する基準として妥当な範囲にあると言える.
昇進条件を旧規定のままとし,昇進基準・陥落基準のみを現規定に変更した場合, 以下のようになる.
すなわち現規定をこの時期にそのまま適用した場合である.以下のようになる.
「二場所連続昇進基準以上」を「連続在位中に二度昇進基準以上」に変更した場合, 以下のようになる.
「連続在位中に二度昇進基準以上」だけでなく, 関脇で昇進基準以上なら昇進という条件(ただし, 前の場所が平幕の場合は除外する)を追加した場合,以下のようになる.
昇進基準を陥落基準+1.4とし,関脇で昇進基準以上なら昇進とした場合, 以下のようになる.
連続在位期間中に二度昇進基準以上なら昇進とした場合は, この調査期間については昇進・陥落への影響はない.